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        Kids Loco Project International Meeting 2025 大会長 挨拶文

                 高塩 純一(びわ湖学園医療福祉センター草津)

 このたび、「Kids Loco Project International Meeting 2025」を開催する運びとなりました。本大会は、広島大学大学院の船橋篤彦先生を実行委員長に心あたたまる交流と学びの場となることを目指しております。
 本年度の大会テーマは、-動くことを通した『FUN』の創発-といたしました。
 このテーマは、2025年8月に出版予定の私と仲間達が原稿執筆した書籍から着想を得たものです。
 たとえ障がいがあっても、子どもはかけがえのない「子ども」です。私たち支援者は、子どもたちの成長を支える一方で、日々彼らから多くの「Gift(贈り物)」を受け取っています。それは単なる「支援する/される」という枠組みを超えた、深い心のつながりにほかなりません。

 重い障がいにより、自分の思いをうまく伝えられない子どもたちと接する中で、私たちは時に、自身の支援のあり方を見つめ直す機会にも恵まれます。思いが届かないもどかしさのなかで、どうしても身体面だけに目を向けざるを得ないこともありますが、だからこそ「関係性」そのものに目を向けることが、より豊かな支援につながると感じています。
 哲学者・國分功一郎氏は著書『中動態の世界』の中で、「する」「される」という関係では捉えきれない領域にこそ、人間の豊かさがあると語っています。私たちの実践も、まさにそのような相互の関係の中に育まれているのではないでしょうか。
近年、エビデンス(科学的根拠)の重要性が強調されています。しかし、子どもたちやご家族が感じる「Fun(楽しさ)」は、本当に数値やデータだけで測ることができるのでしょうか? 本大会では、そうした本質的な問いにも向き合っていきたいと考えています。

 大会初日には、昨年に引き続き、スウェーデン・ルンド大学のLisbeth Nilsson先生をお招きします。F-wordsを用いた視点から、電動移動機器の活用と「Fun」の醸成プロセスについてご講演いただきます。
 さらに、参加者による口頭発表や体験発表も予定しており、実践に根ざした学びの時間となることでしょう。
 2日目には、ALP(Assessment of Learning Process)の全国展開を目指した講習会を開催します。併せて、Baby LocoやCarry Locoなど、電動移動機器の体験会も実施いたします。子どもたちと一緒に「動くこと」から生まれる楽しさを共有し、多くの「Gift」を受け取るひとときを過ごしましょう。
この大会が、子どもたち、支援者、そしてすべての関係者にとって、笑顔とぬくもりに満ちた場となりますことを、心より願っております。

 

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